「主の御腕」 02.12.15
ルカ1:46〜56
<わたしの魂は主をあがめ、わたしの霊は救い主である神を
喜びたたえます。>
クリスマスを控えた私たちは、この「マリアの讃歌」と呼ばれる
御言葉に聴きたいと思います
ここで使われている「あがめる」という言葉には、「大きくする」と
いう意味があります。では何と比べて「主を大きくする」と言うの
でしょうか。まず、「身分の低い主のはしため」に過ぎない自分と
比べてです。
マリアは、有能な力ある娘というわけではなく、取るに足りない
小さな存在でした。また、悩みや不安の中で気落ちすることもある
弱い存在でした。しかし、マリアは自分のその小ささを心の中
いっぱいに大きくすることをやめました。神が自分に目を止め、
自分に向き、自分に呼びかけてくださっているという、大きな
恵みの事実に出会い、このことこそ心の中で大きくすべきだと
知ったからです。
私たちも、マリアと同じような小ささを持っています。
そして私たちは、しばしば自分の小ささや弱さを心の中一杯に
膨らませてしまいます。それによって、一層不安や悩みを増大
させていくことがあります。また、大きくしなくてもいいことを大きく
して、心が占領されることがたびたびあります。周りの人のことに
心を占められて、卑屈になったり、傲慢になったり、ねたんだり
します。物に対する欲望が心の中一杯に膨らむ時に、愛に
満ちた生き方が見失われていきます。この世の権力者の愚かさに
心を奪われて、希望を見失いそうになることもあります。
しかし、マリアはクリスマスの出来事によって主の御腕の業よりも
大きいものはないと知りました。そして、神さまを大きくすることで、
不安よりも信頼に生きるものとなりました。世々限りない憐れみが
あり、良いもので満たしてくださる神に心を奪われるとき、讃美が
あふれ出て、希望に生きる者となります。
クリスマスは、主イエスをこの私に与えてくださった神の
恵みの大きさを、心の中で一杯にする日です。